2.はじまり

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 たけしはサラリーマンだ。    食品会社の営業で、そこそこ営業成績もいい。  三十代後半になると、中堅どころで、責任のある仕事を任されるようになってきた。  人当たりのいい性格だから上司にも好かれ、後輩からも慕われている。  妻のひろみと出会ったのは、取引先との飲み会の時だった。出会ったといっても何度か一緒に仕事をしたことはあって顔は知っていたけれど、仕事以外の話をするのは初めてだった。  最初は緊張したけれど、同じバンドのファンであることがわかって意気投合した。  ひろみも仕事を頑張っていて、そんなところもいいなと思った。  結婚してからもひろみはしばらく仕事を続けていて、長女の桜が産まれた後も育休を挟んで一度仕事に復帰をした。  次女の桃を妊娠した時、悪阻がひどく会社に迷惑をかけたのをひろみは気にしていて、産休に入るタイミングで退職した。  ひろみは、それからはずっと家で家事や育児をしてくれている。
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