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「ああ、あ、あああ、きゅう、救急・・・・・・」
「なんだ?9?9?オラァの足は8本しがねえだ。手合わせれば10本だども(笑)」
「きゅう、きゅうしゃ」
青志は動かなくなった。
顔色は至って健康。
ただ動かない。
「おーい、あんちゃん。いっげねえ。こりゃ、事件だ。今、病院まで運んでやっがらな」
カニは青志を動かそうと、手首を挟んだ。
「んんほぉうんは、重めえな、人間ってやづぁ。ん、んんん」
ハサミに力が入った。
「んあ"、んほっ、あ。いっげねえ」
つい力が入りすぎた。
青志の手首から、血が流れてきた。
それも結構な勢いで。
「やっべえなあ。これ、オラァがやべえこどになっがら、ここぁ、退散するだ」
カニの本性が明るみになった。
生き物が本能的に危険を感じた時の逃げ足は、凄まじいものがあった。
ものの数十秒で、もう見えなくなった。
そこでは青志の血のみが、淀めいていた。
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