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11話 予感
のんびりと歩いていくが、宮島さんの家は、少し郊外にある。
マンションが乱立する住宅街を過ぎて、一軒家と家庭菜園の畑がちらほらし始めたところにあるからなのだが、宮島さんは、『市内!』と強調する。
学校から歩いて30分程度の徒歩。
ただ、今日は雰囲気がおかしい。
背後にピッタリと人の気配がする……。
確かに住宅街だから、人もいるのはたしかなんだけど、細道までついてきている音がした。……気がする。
私は遠回りでも、なるだけ大きな道を選んで歩くことにした。
だが、マンション街を過ぎると、途端に空き地が目立つ。急ぎたいが、追いかけられても怖い。
振り返ることもできず、目だけをキョロキョロと動かして様子を伺うのも限界が……。
ふと、地域猫の1匹、シャム猫のルルちゃんが塀から降りてきた。
反射でスマホを構えたとき、私は思いついた。
自撮りしたら、後ろ、見えるんじゃない……?
私は道路の端で立ち止まり、擦り寄るルルちゃんを写メ……すぐに動画に切り替え、インカメラにすると、そっと、背後を映していく。
そう! ルルちゃんを撮るように見せかけながら、動画を撮り、早歩きで宮島邸に向かいながら確認すれば、問題ないではないか!!!
肩よりスマホを少し高く上げたとき、
「何撮ってんだよ、澪っ!」
スマホをむしり取った手は、男子だ。学ランの袖が見える。
そいつは私のスマホを地面に投げ、私のマフラーを掴んだ。
「これも、西尾の入れ知恵か!? ……なんで、いっつも僕が守ってたのに……なんで西尾……あんな不良なんか! 許せない! 許せない! ……絶対に、許さないっ!!!」
マフラーをむしり取り、目を釣り上げながら、空き地に押し倒してきたのは、間違いなく、
隣のクラスの学級委員長、谷村くん───!
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