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9話 テスト期間
土日は集中して勉強に励んでいた。
時折、西尾くんからメッセが届く。
写メだけの時もあれば、動画になってて、途中までいくけど、クエッションマークがついたり。
意外とバリエーション豊かな質問がくるので、私はそれで気分転換しながら、勉強を進めていた。
だが一方で、昨日、ブロックしたその人が誰なのか、気になって仕方がなかった。
絶対、学校の誰かだ。
だけれど、誰かなんてわからない。
いや、麗愛菜の差し金……?
考え出したらきりがない。
ブロックをして、鍵をかけてはみたけれど、結局フォローしている人にはみられていることには変わらない。
いや、ブロックした人は見えていない!
……ツイートもしてないけど。
「……考えないようにしよ」
──そうして、どうにか集中を繰り返し、月曜日がやってきた。
今日から木曜日までかけてテストが行われる。
金曜日は全校休校となり、月曜日からテストが返却される流れだ。
朝、少し早めに家を出ると、この前別れた角に、なんと西尾くんがいる!
一応、あたりを確認してから、
「西尾くん、おはよ。ありがと」
「コロス」
となりを歩こうとする私に、手を突っ込んだまま、顎をしゃくる。
「わかったってば」
ほぼ尾行される距離感を保ち、私たちは登校した。
が、教室の中はテスト期間となったことで、殺伐とした雰囲気がある。
ノートをかじりつくように見だした西尾くん。
私も、負けてらんない!
出席番号順に座り直した席で、ちょうど斜め前に麗愛奈がいる。
振り返りざまに睨まれたが、一応、笑っておいた。
チャイムと同時にテストは始まった。
シャーペンの走る音が響く。
西尾くんは私からは見えない席にいるからわからないけれど、ここは、3人で一生懸命覚えた箇所だ。
答えられてたら嬉しい。
そして、休憩時間も詰め込みタイム!
とはいっても、テスト期間は午前中のみだ。
どこも寄らずに帰ると決め、生徒玄関に行くと、視線を感じる。
恐る恐る振り返る……。
「なんだ、西尾くんか……」
結構離れてるのに聞こえたのだろうか。
すんごいメンチを切られた。
彼の手にはスマホがあり、なにか操作をしたと思うと、私のスマホが震えた。
『見てんじゃねぇ、ハゲ』
思わずため息が出ちゃう。
「……ハゲじゃないし」
──そんなわけで、彼の送り迎えはちゃんと毎日続いた。遠距離で。
おかげでほぼアイコンタクトで登下校を済ませられるようになった水曜日の夜。
調子はどうだ? とメッセージを入れてみた。
『シネ』
「まあまあってことかな」
『シネ』
「明日終わったら、宮島さんとこ行かない?」
『いく』
彼からスタンプが届く。
「お供いたす」猫侍が会釈をしている。
私も押し返しておいた。
「よろしく」寝転がりながら鼻をほじる猫のスタンプだ。
西尾くんからは、『キモイ』という感想をいただけた。
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