9人が本棚に入れています
本棚に追加
ママとパパは、きゅうりとナスを見ながら、ワイワイと騒いでいる。
あたしは、ママたちのお話の意味が分からず、ばーばのエプロンを引っ張った。
「ねぇ。ばーば、どこに、牛さんやお馬さんがいるの?」
ばーばは、可笑しそうに、あたしの顔を覗き込みながら教えてくれた。
「あの、きゅうりがお馬さんで、ナスが牛さんだよ」
あたしは、ばーばの言っていることが分からず、首を傾げる。
ばーばは、パパから、きゅうりとナスを受け取ると、あたしを隣に座らせて、自分も畳に膝をついた。
「ほら、どお? お馬さんと牛さんに見えるでしょ?」
ばーばは、そう言いながら、緑の草をいっぱい束ねたものの上に、きゅうりとナスをそっと置いた。
あたしは、もっとよく見ようと、それに顔を近づける。すると、さっきばーばにギュッとされた時と同じ匂いがした。
「今年は、随分と立派な笹舟ですね?」
「ええ。今年は、裏山の若笹がよく茂っててね。欲張っちゃったわ」
ふふっと、ばーばは、笑う。
「ねぇ、ばーば? これ、お船なの? ばーばが作ったの?」
「そうだよ」
「このお船、おうちのプールで浮く?」
あたしの質問に、ばーばはちょっとびっくりしたみたい。
お口をポカンと開けている。
最初のコメントを投稿しよう!