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「おうちのプールか……そうね。おうちのプールでも浮くけど、このお船は川に流すの。それまでは、ここに飾っておくから、プールには、入れられないかな」
ばーばは、「ごめんね」と言って、あたしの頭を撫でた。
でも、あたしは、全然残念なんかじゃない。
だって、川だって!
おうちの狭いプールより、絶対、川の方が楽しそう。
「じゃあさ、いつ、川に浮かべに行く?」
あたしは、ウキウキワクワクしながら、ばーばを見上げる。
「お精霊様が帰る時だよ」
「おしょろさん?」
「じーじたちを連れてきてくれる、この馬と牛のことだよ」
あたしの頭に、ポンっと大きな手を置いて、パパが教えてくれる。
足の速いきゅうり馬は、じーじたちが早く帰って来られるように。荷物をたくさん背負える力持ちのナス牛は、お土産をたくさん持ってゆっくりと戻って行ってねという、お願いが込められているんだって。
「ふ〜ん。じーじたちは、いつ来るの?」
「今日の夕刻には、お迎えしようかね」
ばーばは、そう言うと、「よっこらしょっ」と言って立ち上がり、お部屋を出て行こうとした。
だけど、ママの大きな声に呼び止められて、立ち止まる。
「ちょっと待って、母さん。これ何?」
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