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あたしたちがきゅうり馬やナス牛のお話をしている間、じーじたちの写真に手を合わせていたママは、じーじの写真の横に飾ってあった白いオモチャのトラックを手にしていた。
「ああ、それ。この前、敬老会と保育園の交流会の時に、男の子がくれたのよ」
ばーばは、その白いオモチャのトラックをチラリと見ながらニコニコと話す。
「そのすぐ後に、テレビで、盆のお迎えの時に、お精霊様の代わりに、車のおもちゃを飾ってお迎えする地域があるって知ってね。うちのお父さんには、馬よりトラックだわと思って、置いてみたの」
ばーばは、可笑しそうに、ウフフと笑う。
「確かに、父さんは、馬に乗れなかっただろうし、よく農作業で軽トラには乗ってだけど……」
ママは、困った顔で、オモチャのトラックと、ばーばの顔を、交互に見る。
そんなママの手から、するりとオモチャのトラックを取ると、パパは、ママの肩をポンポンと叩いた。
「まぁ、良いじゃないの。お義母さんが良しとしてるんだから。それに、実際にそうしてお盆の準備をしている地域があるなら、間違いってわけでもないしさ」
「う〜ん。……まぁ、そうね」
ママは、困った顔のままだったけれど、それ以上は何も言わずにお部屋を出て行った。
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