じーじのトラック

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 ばーばもお部屋を出て行き、パパとあたしだけが、じーじたちの写真の前に残った。  パパは、手の中のオモチャのトラックをもう一度見ると、ニヤリと笑う。そして、あたしから少し距離を取った。 「ちょっとそこで、トンネルをしてごらん」 「トンネル?」 「うん。そう」  あたしは、足を広げて、足の間から、逆さまになったパパを見る。 「パパ? なぁに?」  ギリギリギリギリ……  なんだろう? なんだか、変な音がする。  そう思った途端、逆さまのパパの手から、ビュンと白い物が、あたし目掛けて飛んで来た。  びっくりしている間に、白い物は、あたしのトンネルを、ビュンとくぐって行った。 「じーじのトラック、動いた!」  あたしは、向こうの方にまで行ってしまった、白い小さなトラックを取ってくると、パパのそばに駆け寄った。 「パパ! じーじのトラック、動いた」  そう言いながら、あたしも、パパがやったみたいに、ビュンとさせたくて、トラックを床に置いて、手を離す。  全然、動かない。 「パパ〜。じーじのトラック動かない……」  あたしは、泣きべそを我慢して、パパを見る。 「大丈夫。動くよ。ちょっとだけ、バックさせてごらん」  パパに教えてもらって、ちょっとだけ、じーじのトラックをバックさせる。
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