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ギリギリ……
また変な音が聞こえた。
「手を離して」
パパの合図で手を離す。
すると、動いた!!
パパみたいに、ビュンとは走らなかったけど、じーじのトラックは、ブーンとちょっとだけ走って、ゆっくり止まった。
「動いた〜! ねぇ、パパ。動いたよ。もう一回やっていい?」
あたしは、パパを見上げて、尋ねる。
「いいよ。でも、お約束があります」
「お約束?」
パパは、あたしの目をジッと見つめてきた。あたしも、パパをジッと見る。
「お約束、その1。バックは少しだけ」
「どうして?」
「バックをいっぱいすると、さっきパパがやったみたいに、ビュンと走って危ない。スピード違反になるから、バックは少しだけにしてください」
「じゃあ、パパ、スピード違反じゃん?」
「あはは。そうだね。ごめんなさい」
そう言って、パパはペコリとあたしに頭を下げる。
「いいよ。許してあげる」
「はは。ありがとう。それで、お約束は守れるかな?」
パパの問いかけに、あたしは、元気に手をあげる。
「はーい!」
「よし。それじゃあ、お約束、その2。これは、じーじのトラックなので、お片付けの時は、じーじに貸してくれてありがとうって言ってください。出来ますか?」
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