折り紙

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折り紙

私はただ何もせずに待つならと女官に折り紙は無いかと尋ねた。 しかし折り紙という概念はまだないらしい…しかし色紙はあると言うので正方形に切ってもらい沢山用意して貰うように頼んだ。 仁と言う男はただその様子を黙ってうかがっていたがもう居ないものと思うようにした。 私は千羽鶴を折って鈴麗様に届けようと考えていた。 有り余る時間に折り紙なんてもってこいだ。 そういえばよくつまんない授業中やガムやお菓子の包みで折り紙してたなぁ~ 〝鶴〟なんてみんな一度は折っているだろう。 考え事をしながらでも手が動く…するとそれをじっと見つめる視線があった。 「なにか?」 視線が気になり思わず声をかけてしまった。 「それは…なんだ?」 「これは折り紙の鶴ですけど…見えません?」 一つ手に取って広げてやると 「鶴には見えないが…その折り目は美しい…」 しげしげと鶴を見つめている。 確かに綺麗に折れるとその形は美しいのかもしれない…あまりに当たり前なのでそう感じていなかったが…改めてみるといいものだ。 「私にも貸してみろ」 これからおる紙を指さしている。 「え?鶴折れるんですか?」 「見ていて何となくわかった」 うるさいし折らせてれば静かになるかなと一枚紙を渡した…すると早速最初からつまずいている! 「違う!ちゃんと端と端を綺麗に合わせないとかっこいい形にならないんですよ」 「これでも合わせてる!なんで上手く合わさらないんだ?」 幼稚園児並の折り方に付き合ってられないと、無視してさっさと自分の分を折ることにした。 仁様が一つ折り二つ折りしてる間に私は一羽、二羽と仕上げていく。 「あっ!ちょっとそこの折り方をゆっくりやってくれ…」 真剣な顔で私の手元を凝視している。 「ここは折り目を付けているのです…ですから一度折って開いて下さい」 「なるほど…」 ふーん…意外と素直なのかな? 子供の様に真剣に折り紙をする姿に最初よりは好感度があがった。 まぁ最初が好感度底辺だから少しマシになっただけだが… 「で、出来た…」 どうやらようやく一羽折り終わったようだ。 どれどれ? 私は完成品を覗き込むと… 「ぶっ!」 その出来に思わず吹き出す。 「なっ!今笑ったな!?」 「すみません…ですがそれは酷くないですか?」 笑いを噛み締めて鶴らしき物体を掴む。 形はかろうじて鶴だが、端はズレてピンと立つはずの尻尾や嘴は力なく垂れている。 私の折ったものと比べるも酷いものだ。 それは本人も感じているようで何も言えずに悔しそうにしている。 「でも…初めにしてはとても上手だと思いますよ」 「そ、そうか…まぁ当然だな」 「それでも子供と同レベルですけどね」 「レベル?」 「子供と同じって事です」 「何を…この…」 「あっ文句があるならもう教えませんからね。それでもいいなら好きなだけ罰すればいいですよ。まぁ既に牢屋に入ってますけど」 仁様を無視して私はまた鶴を折り始めた。 「なんて生意気な女なんだ…それでも後宮の妃か…」 仁様がボソッと呟いた。 わざと聞こえるように言ったのかしっかりと耳に届いた声を面倒なので聞こえないふりを決め込んだ。
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