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理由
「まぁただ待ってるのも時間がもったいないので千羽鶴を折ろうと思って…そしたら仁様が折ってみたいと言うので教えておりました」
「千羽…という事はこれを千折るのですか?」
「まぁ時間はたくさんありますから」
王蘭はにっこりと笑って仁様が作った鶴を南明に手渡す。
「これは…」
「仁様が作った鶴ですよ、私には必要ないので…」
「ぶっ!へ、…仁様これは酷い」
南明様は私と同じように可哀想な鶴を見て吹き出す。
「お前…ならお前も折ってみろ!意外と難しいんだぞ!」
「それでも仁様よりは上手く折れる自信があります」
南明様は自信満々に紙を一枚掴んだ…
「ふっはは!なんだそれは」
仁様は南明様が折った鶴を掴んで大笑いしている。
「くっ…こんなに難しいなんて…」
南明様もやはり端を合わせるのが苦手らしく仁様とそう変わらない鶴が出来上がった。
「おかしい…何故出来ないん?王蘭様もう一度教えて頂けませんか!?」
「まて!先に私が聞くお前には上手く折れるようになった私から教えてやろう」
二人で不毛な争いをしている。
「すみませんが…もう用が済んだなら出てって貰えます?南明様、鈴麗様のところに行くのは明日でいいんでしょうか?」
「え?あ、はい。さすがにもう時間も遅いので明日改めて伺ってもらう予定です」
「わかりました…」
私は頷くと二人を牢屋から押し出す。
「な、何をする!?」
仁様が押し出す私に文句を言おうとする。
「一応私後宮の妃候補なんですけど…それなのに男性と部屋でずっといたらなんて言われるか…用が済んだらさっさと出てって貰えますか?」
「き、貴様!私を誰だと…」
「え?誰って…南明様達は刑部の関係で話を聞きに来たのでは?」
「私達はただの文官だと?」
「違うのですか?もしかしてもっと上の部所…」
やばいと顔を曇らせる。
てっきりそっち関係かと思ってたのに…もっと位の高い人達だったのか?
「いや、そうだ」
「仁様?」
肯定する仁様に南明様が顔を凝視している。
「私達は役所から今回の事故の件を調べる様に言われているんだ」
やっぱりね!
「なら尚更ここに居ないで下さいね!」
私は二人の部所もしれて安心して追い出した。
「わかりました…ではまた明日来ます。そしたら鈴麗様の元に行きましょう」
「はい、よろしくお願いします。あっ!それとこれ…」
私は折り紙の束を二人に手渡す。
「なんだ?」
思わず受け取った仁様が首を傾げる。
私の意図を汲み取れないようだ。
「鶴を作って来いと言うことでしょうか?」
「正解です。上手くなりたいならひたすら折るしかないですよ…それに鶴は基本中の基本。そこが上手く折れるようになればもっと色々と折れるようになりますよ」
「他にも折れるのか?」
「ええ、そんなには種類ありませんけど…」
簡単なのなら知っているが本格的な折り方は本など見ないとわからないからな…
曖昧に頷いておいた。
「わかった…」
仁様は渋々といった感じで折り紙を見つめる。
「ではまた明日」
二人に笑いかけると奥へと戻る。
「ふー!」
やっと一人になれた!
私は重い服を脱ぎ捨ててドサッとベッドに横になる。
開放的な気分の中…明日の事を考えながら手は鶴を降り続けた。
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