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神様の言う祟り
「ご馳走様」
「こっちにしてみればゴミ出しだ」
「じゃあ、お礼は要らないね」
「そういう所だぞ、お前」
「ええ…。柱に石投げられたくらいで祟ろうとする君に言われたく無いよ」
「態とか?態とだな?」
「冗談、冗談。本当にご馳走様」
「そんなんだから人の心が離れたんじゃないのか」
「いやぁ?どうだろうね。関係無い気もするよ。時代の流れだろうし」
「だったら、大人しく消えてろよ」
「それとこれとは話が別かな?」
「酷い神だな」
「酷いのは君もでしょ?今回はちょっとやり過ぎじゃない?」
「お前と比べりゃ、可愛いもんだろ」
「そうかな?」
「年端も行かない幼児の失敗に付け込んで、その体を乗っ取ってたりする奴よりはマシだ」
「ええー。別に乗っ取りたい訳じゃ無いよ。ただ君にお礼を言おうと思っただけだよ」
「全くもって小娘の体を使う理由が無いな」
「まあ、気分だよ」
「そういう所だ」
「でもまあ、この子が依代の一つを壊したりしなければ良かっただけの話じゃないかな」
「そういうのを『付け込んでる』って言ってるんだよ」
「当然の対処だよ。この子から力を奪い取らなければ、存在を維持できないほど弱ってしまったんだからね」
「本当にそいつが依代壊したからか?元々弱ってたんじゃないか?ってかそもそも依代も経年劣化で壊れたんじゃないか?」
「疑うね。まあ、もっと昔なら全然問題無かったんだろうとは思うけど」
「…回復しないのか?」
「ああ、心配してくれてるの?優しいね」
「お前の心配じゃない」
「分かってるよ。回復はしなくは無いんだろうけど、弱体化の方が早いよ。こんなご時世だから」
「そのまま取り憑いていれば、その小娘は死ぬだろ」
「そうだね。けど、問題がある?」
「人間に干渉し過ぎるな。殺すのはやり過ぎだろう」
「ははは。態々自分の部下を食べさせるような君の方が過干渉だよ」
「ちょっとは真剣に聞け。お前だって顰蹙を買っても面白く無いだろ」
「ふふふ。そうかもね」
笑って、少女の両の目を閉じた。数秒後、少女は瞼を開け目の前の神を見て状況を把握する。
「お前も難儀だな」
疲れたような神の声に、少女は困ったような微笑を浮かべた。今更と言えば今更だ。だから少女は諦めの滲む声で、こう言うしかない。
「なるようにしかなりませんから」
去って行く少女の背中を見つめて、神は一つ溜息を吐いた。
終
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