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少し経った頃には、
「ボク、シャケのおむすびが大好物なんですよー」
「クマといえば、会社の先輩に北海道みやげだって木彫りをもらった事があるけど、やっぱりシャケをくわえてたな」
「この紅鮭、最高すっ!!」
と、ベンチで寛いでいるクマと僕がいた。
なんで喋っているのかって、僕にもわからない。
あちこち触ってみたけどなんの仕掛けもなく、ゴムより軽いけどビーチボールのように軽いものではなかった。
んーつっっっっ・・・、未確認生物? いや、UMAっーの? でも、見た目おもちゃだよなー。おもちゃの妖精?
そうだな。なんか、それが一番しっくりする。
必死でおむすびを頬張っている姿も、「か、かわいい・・。真希に見せたら喜ぶだろうなぁ」と思う。
そのクマが言うには、住んでいた家の女の子に投げられたり潰されたり叩かれたり、お風呂に放置されたり猫の遊び相手にさせられたりする毎日に疲れて数日前にその家から飛び出して来たんだって。
女の子にしたら、おもちゃだからなぁー・・・。仕方ない気もするけど。
よほど美味しいのか、クマは口のまわりにたくさんご飯粒が付いているのも気にしていない。
「そんなに急いでたべなくても・・」そう言う僕を見た途端、クマが「うっ・・!」と目を見開いた。
「クマー、クマちゃんだぁー!!」
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