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その声に驚いて振り向くと、小さな女の子がこっちに向かって走ってきていた。直感で、この女の子がクマがいた家の子だとわかった。
「あの子か? あの子なんだね!?」
クマはあまりに驚いたのか、口を開けたままパクパクしている。
「大丈夫、僕が守ってやるから!!」
一目散に走ってきた女の子は、幼稚園くらいの年頃だろうか。見知らぬ僕に警戒することなく人懐こい笑顔で。僕の静止も聞かず両手を掲げて「クマちゃん、見せてーっ!」と飛びつきそうな勢いだ。
確かにこれでは毎日一緒にいたら家出したくなるかも・・。
「ちょっとでいいからーっ」
「いやいや待って、お嬢ちゃん。その前に、おもちゃの扱い方についてちゃんとお話ししよう! それなら、このお菓子も食べていいから」と、ボリ袋から取り出すと、
「うわぁ、○✕△☆◎だぁ!」と見上げる。
ー なんだ? このお菓子のキャラクターの名前なのか? ー
もはや、会話が理解出来ない。と、女の子はクルッと背中を向けて「ママーつっっっっ!!」と絶叫した。
「ま、待って! 僕はあやしい者じゃな・・!」と、言いかけた僕は、守ろうとして片手に掲げていたクマから手を滑らせ、クマはそのまま宙に飛んでいき、女の子は遠くで手を振っている女性の元へ走っている。
「あぁーっ、クマーっ、待ってー!!」
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