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お茶を楽しんでフィル達は、お城へと帰ってきたのだが、どうも城への入り口あたりがざわついている。見るとその場所には、馬車が一台とまっていた。
「あれは、まさか!」
トムは、驚いてススムに顔を向けた。
「ええ、父上の馬車です」
っと、ススムは応え馬車へと歩いていった。
「ススムの父親となると、この国の国王か?」
パオがトムに訊いた。
パオは、私の訊きたいことを、言ってくれるので助かる。
フィルは、黙ってトムの言葉を待った。
「あぁ、ティッティ国、国王アユム陛下のお帰りだ……」
っと、トムは応えた。
アユム国王は、海外にみずから出向き新しい物質の納品などを、部下にまかせる為自ら南の地に脚を運んでいたらしい。
ススム達は、城内の玉座のある場所へと移動した。
「国王アユム様のおな~りぃ~!」
と、言う臣下の声とともに玉座への通路を歩いて渡る国王。
下々のものが皆片ヒザをたて頭を垂れている。
「父上、ご無事のご帰還嬉しく思います」
ススムも、片ヒザをつき頭を下げて言った。
「うむ。ススムも変わりないようで安心したぞ。皆のものもおもてをあげるが良い」
国王は、優しく微笑みながら
「して、ススムよ。お前の決めた婚約者の娘は、どこぞよ?わしは、妃を病で亡くしてからこの日を待ちわびておったのだぞ」
国王は、顎髭を触りながら言った。
「只今ここへ、支度を整え参ります」
「ススム様! フィル様の支度が整いました」
フィルの支度の為につけた侍女が告げ扉がキィッと開かれた……。
『フィルさん、うまい事やって下さいよ~』
ススムは、内心ヒヤヒヤしながらフィルの方を見た。
皆がハッと息を飲んだのがわかった。
「きれいだ……」
皆が、口々に言うのが聴こえた。
フィルは、白い絹に薄い桃色のレヘンガという、シャツにスカートそこにスカーフを巻くといった服装で登場した。
フィルは、少し頭を下げ
「国王陛下、この地を平和へと導いた巫女、ノアの娘でフィルと申します」
っと、静かに告げた。
『……』
この一言には、ススムも目を丸くした。
って、いうか皆が目を丸くした……。
「なにぃ? そなたノアの娘と申すのか? それは、まことか、ススムよ」
国王は、玉座から立ち上がり問うた。
『フィルさ~んっ!……』
ススムは、
「間違いありません」
っと、言うしかなかった……。
トムは、ススムの後ろでやっちまったなぁって顔をしている。
国王は、ドカッと玉座に座り
「驚いた……だが、確かに似ておる……」
っと、言ってフィルに
「フィルどの、これから花嫁修業などで色々大変であろうがススムの事を頼みましたぞ」
っと、言った。
「承知致しました……」
フィルは、頭を下げて言った。
「うむ。これにてわしは退出する。わしは明後日には、また隣国や他の国に向かうその間この地を頼むぞススム!」
「承りました」
ススムは、再び頭を垂れ、国王は、退出していったのであった…………
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