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 ススムとの試合から数日がたっていた。 私は、運動不足解消に良いと思いたまにドームに行ってまわりの兵達を相手に練習試合したりしていた。 今日は、朝から城の図書館でこの国の歴史書を読みあさっていた。しかし、何冊みても世界伝の記録しているものなど出てはこなかった。 「……パオなんか見つかったか?」 フィルは、高い段に入っている書物は耳をパタパタさせて身軽に飛べるパオに任せていた。なかなか役立つ暗殺者である。 「それらしい物はない……たまに、ちらほらお前の母親の舞の記述があるくらいで」 「私も変わらない……」 フィルは、これでは拉致があかないと思い 「ススムのとこ行って神殿調べて良いか訊いてくるか」 っと、言った。  そうしてススムがいつも仕事をこなしている責務室のドアまで脚を運んびノックをする。 カチャリとドアノブが回りトムが目の下にクマをつくった顔で出てきた。 「コワッ!」 フィルとパオは、微妙に一歩下がって言った。 トムは、こないだのススムとの試合からなんとなくフィルの存在を認めつつあるのか、それでも、ムスッとした顔で 「入れ」 っと、一言言ったのである。 中に入ると机に山ずみになった書類と睨みあうトムよりもひどい顔をしたススムがそこにはいた。 この王子は、国王である父親の変わりこの国を担っている。 「お前、仕事し過ぎじゃね?……」 フィルは、呆れ顔で言った。 「こんなの重要なもの以外は他の奴に任せられないのか?」 パオもちょっと気の毒そうにトムに訊いた。 「信用できる者を探すのもなかなか骨がおりるんだよ」 「わからんでもないが……そのうち倒れるぞ」 パオは、トムとススムの顔を見て忠告した。 「それより、用事はなんですか?」 ススムが、書類にハンを押しながら訊いた。 「神殿へ行きたいのだが……」 フィルは、素直に言った。 「なにかわかりましたか?」 ススムは、眠そうな顔でこちらをじっと見つめた。 「いや、わからんから行きたい」 フィルは、言った。 「そうですか……それじゃ これが鍵です。夕方の五時には返しにきて下さいね」 そう言ってフィルに簡単に鍵を手渡してくれた。 「そんなあっさり良いのか?」 「あなたが、盗みたくともは、そっとやそっとで持ち出せる代物ではないですから」 ススムは、そう応えると再び書類を読むことに専念しはじめた。 「夕方には、返しにくる。ススム、お前も少し寝た方が良い」 フィルは、そう言って責務室からパオと出ようとした。 「今夜わたしと一緒にずっといてくれるのなら寝ます」 っと、青白い顔でススムは、不気味に微笑み応えた。 ……「わかった」 フィルは、そう言うとドアを静かに閉めた。 ……「今、わかったって言いませんでしたか? フィルさん?」 ススムは、眠いあまりに幻聴が聴こえたのかと思いトムに訊いた。 「いや、わかったっと私にも聴こえましたよ。今夜なさるので?」 トムは、けっこう真剣に主に訊いた。 「……どうしたものですかね……」 ススムは、眠い頭で考えたがとりあえず書類を片付けることを優先したのである。
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