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「フィルさんの父ぎみが貴女の言ってる事を、理解する可能性はあるんですか?」 「さぁ」 「さぁって! そんな事も保証出来ないのにぶっ壊すのかよっ!」 トムは、怒鳴った。 「トム……素が出てますよ」 ススムは、言った。 「こんなうまくいくかもわからない事に私は、巻き込みたくないから言わんかったんだよ」 フィルは、どうやらふて腐れているようである。 「でもまぁ、謎がとけた事だしこれからやってみるけど。お前達もくるだろ?」 「もちろんです」 ススムの声に合わせて皆は立ち上がり神殿に向かった。  神殿に入るとフィルは、天井をまず見上げ東の方角を見た。そして、下に置いてあった植木鉢を反対の西の方角に持って行き、そこにあった植木鉢を今度は持ち上げた。 「太陽草と髄月草(ずいげつそう)!」 ススムが言った。 「なるほど、そう言う事か……」 トムもフィルが何をしようとしてるのかわかった様子である。 パオは、世界伝を取り出して来てススムに渡した。 フィルが東に髄月草を置いた。 すると、カチカチとなにやら床からゼンマイの回る音が聴こえてきた。大蛇のモニュメントが動き出し口を大蛇は、口を開いた。 「どうやら口に入れるようですね。私が入れてよろしいのですか?」 ススムは、フィルに振り返り言った。 「この国の事にも関わるんだから。ススムがしてくれた方が私としては安心だ。後から打ち首とかもゴメンだしな」 ……「そんな事は、しないです」 ススムは、言うと宝玉・世界伝を口にはめ込んだ。 神殿内部がカタカタと揺れる! スゥーーーっと 光りの筋が世界伝から一本出る。 「振動がやんだな」 トムは、言った。 フィルは、カチっと世界伝を取り外すとそれを扉まで持って行き、ゆっくり脚を外に向けおろした。前に鼻をぶつけて捕まっているのですごい慎重である。 「やった! 持ち出し成功だ!」 フィルは、ガッツポーツした。 「やりましたね。その光りの方向に父ぎみはいるのですね?」 ススムは、光りの方角を指差すと言ったのだが 「どうしたら出て来ますかね?」 っと、フィルに訊いた。 「たぶんだけど私が母のマネをして舞えば出てくると思う。蛇語は産まれつき言えるしな。出て来てくれたら頼みこむけど、食べられない保証はないし危険だからついて……」 「いや、絶対ついて行きますからね!」 ススムは、譲らないぞとばかりにフィルの持っていた世界伝を手から没収した。 「お前っ!」 「私を除け者にしようなんて一生無理ですからねフィルさん」 ススムは、にっこり笑うと 「それより、貴女踊れるのですか?」 っと、訊いたのである。 「母譲りでなんとなくなら。衣装はないけど……」 「衣装ね。フフッ。フィルさん私は、王子ですよ。この前仕立て屋に行ったの覚えていますか?」 ススムは、ニヤリと笑うと言った。 「まさか、お前……」 「あの時貴女が見つめていて綺麗な代物だったので貴女サイズで仕立ててもらったものがありますよ」 そう言うとススムは、フィルつきの侍女を呼びつけて舞用の衣装を身につけさせた。 「よし! これで出発出来ますね」 ススムは、笑みを絶やすこと無くフィルに言うとフィルの左手を出してガチャンと自分の右手と繋がる錠をかけたのであった。 「これで私と運命共同体ですね」 「ちょっと!」 フィルは、カチカチと自分の腕からそれを外そうともがくも 「それ、私の魔力でがっちりなんで私が外れろ!と言うまで外れませんからね」 っと、ススムは笑っているが目が笑っていなくてなんだかこわい。 「王子さん、本気だな……」 パオは、フィルを少々あわれんだ。 「ススム様は、はじめからすべてに本気ですよ。誰にもとめられないですよあの頑固王子は……」 トムは、その様子をおもしろがって見ていたのである……
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