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『……結局、世界伝のありかはわからないか、 怪しいのはやっぱり神殿なんだけどなぁ』 フィルは、牢屋の寝台で寝そべって考えた 『う~ん、魔力戻ってきたなぁ』 フィルは、人差し指を光らせ 『よし!』 指先から見えない眠り薬をまいた。 兵士達は、バタバタと倒れていく。 兵士の腰にかけてある、鍵を抜き取りフィルは、まんまと牢から脱出してみせた。 『私を、牢屋にぶちこむなら牢にも結界張るべきだったな』 ニヤリと含み笑いし、一階へと進む階段をあがって行った。  ティッティ国は、暖かい気候で夏でも冬でも皆薄着で充分過ごせてしまう。城は、ヨーロッパの古城ようなつくりになっており断崖絶壁の上に立てられたその建物は、国の中心にふさわしい外観だと言えるだろう。  ススム・ティッティは、国の第一王子であり、今日で十八になる。この国では、成人が十八で、今日はこれから城の神殿を解放して盛大にバースデーパーティーが行われる。 しかし、貴族のパーティーと言えば名ばかりの嫁探しの場である。 「はぁ」 ススムは、自室の赤い一人がけの椅子に座りため息をついた。 「ススム様、そんなにお嫁探しが嫌なのですか?」 側に立っていたトムがわかっていて訊いた言葉にススムは 「であって初日で惚れたなんだとほざく人間など本当にいるのかが、私には不思議だよ……父上も人が悪い……」 っと、呟いた。 「隣国のマルジャーラ国の姫君なら一度あったことあるでしょう……」 「トム……本気で言ってるのか、それ?」 ススムは、ギロリとトムを睨んだ。 「あの姫君と結婚などしてみろ、父上の思惑とおり過ぎて絶対自分を一生許せなくなるぞ……」 『へぇ、パーティーねぇ』 天井裏で聴いていたフィルは、 「忍びこんだ方が色々調べやすいな~」 っと、呟いた。 フィルが、天井裏で色々悩んでいると ススムの自室をノックするものがいた。 「はい、どうぞ」 トムが扉をあけると、執事が一人入って来て 「準備が整いましたので、おはやく」 っと、言われススムは、嫌々自室をあとにしたのである。
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