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 フィルは、縄は手にかけられたままだが、なぜだか牢屋ではなく執務室みたいなところに連れて行かれた。 部屋には、現在フィル、ススム、トム、子象の四人がいる。 ついでに、 子象も同じ縄にくくられていて目を覚ましたそいつは、 「俺の美顔がぁ――!!」 っと、鏡の前で騒いでいた。 まぁ、騒いだところで猫くらいの大きさなので かわいいものであって全員に無視されたのであるが。 ススムは、長椅子に座り、皆をテーブルを挟んで座らせると 「私と、取り引きしませんか?」 っと、にっこりと笑った。 「取り引き?」 「はい、貴女は世界伝が欲しいのですよね?」 「もちろん」 フィルは、応えた。 「しかし、世界伝は神殿から出せません。なぜ欲しいのかは、この際詮索しません。ただ、世界伝を持ち出す方法は私も、知りません。そこで、この国にとどまり世界伝の研究をしませんか?」 「……私が? なんか、私がうまいけど裏は?」 フィルは、こめかみを揉みながら訊いた ススムは、 「もちろん、条件が二つほど」 っと、二本指をたてた。 「一つは、研究の結果を私に報告すること、もう一つは…… 僕の婚約者になってもらう事」 「……」 フィルは、 はぁ? って顔をして目の前の自分を見た。 「王子ッ!? なんってことを言ってるんですか――!!」 トムは、私達の縄を持ったまま必死で叫んだ。 ススムは、ニヤリとして 「どうします?」 っと、フィルにふった。 フィルは、少し考えた様子であったが、 「……のった その話しにのる!」 っと、フィルもにっこりと笑ってみせた。 しかして、狐王子と狸盗賊のばかしあいがはじまったのであった。
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