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城下町には、たくさんの露店や商店街が並んでいた。
人が笑いあえるという事は、それだけ豊かな国であるのだろう。
「服屋ってどこ?」
フィルは、露店でかった兎の肉串焼きをかじりながらススムに訊いた。
「お前、さっき朝ごはん食べてなかったか?」
トムは、呆れながら言った。
「えっとですね~、服屋っていうより今日は、仕立て屋に行こうかと思ってます。」
っと、ススムは応えた。
「そんな良いものでなくて良いぞ私……」
フィルは、一応遠慮がちに言ったのだが、
「それでは、困るんですよ」
ススムは、ちょっと困った顔をしてみせた。
「ススム様は、ご覧のとおりここティッティ国の第一王子です。そして……すんっっっごくわたしなりに、イヤですが、表むきお前は、王子の婚約者となっている。そういう訳でこれからは、外見にも気をつけてもらう」
っと、トムは言った。
「すんごくむかつく説明ありがとう臣下よ」
フィルが、フフンとした顔で言った。
「なっ!? わたしは、お前の臣下ではないっ!」
トムは、フィルに掴みかかろうとしたが、ススムが割って入った
「トム! フィルさんは、私の婚約者です、ちゃんと名前で読んであけて下さい。 あと、フィルさんも言葉づかいに気をつけてもらいます。わかりましたか?」
フィルは、死刑を免れて今の立ち位置にいるのでススムには
頭が上がらない……
渋々二人は
「はい……」
っと、納得してない顔で応えた。
ヤレヤレ……
ススムは、
「パオさんは、おとなしくて助かります……」
っと、パオの頭を撫でた。
パオは、
「俺は、食べものあたえてくれているお前になんの不満もないからな。お前の暗殺を企んで俺を雇った輩は俺に不満があるだろうが、俺はこんな身になっちまったし、知った事じゃね~。不満があるとすれば、そこのフィルっていう小娘にだ……」
パオは、見た目が子猫くらいの小象なので忘れがちだが
中身はオッサン悪魔である。尚、オッサン声は読者様の想像に任せることにする。
「なるほど……」
ススムは、何かと犬猿するフィルとトムを交互に見て
『この中で一番安心できるのはパオさんだなぁ』
っと、とてつもなく失礼なことを考えのであった
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