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キミに貰ったものを帰すということ。
【お題:僕の魚 必須要素:英検】
「どんな思い出があるにせよ、やっぱり自分が生まれた場所ってのは特別なんだ」
風に揺れる金色の髪を見ていた。
横顔が一番綺麗だと思ったけど、気恥ずかしくて、見ていられなくて、顔を直視できないからとても綺麗な髪を見ていた。その子は浴衣を着ている。金色の髪と、碧色の瞳と、紺色の浴衣。配色がとてもアンバランスで、それなのにとても美しい。
「だから私は帰るの」
彼女の声は綺麗だった。花火がうるさい。もっと彼女の声だけを聴いていたい。だけど彼女が何を言っているのかは分からなくて、言葉の意味は側にいる彼女の母親が伝えてくれる。
それがたまらなく悔しい。
「きっともう会えないけれど、私はキミを忘れないわ」
彼女がこちらを向く。目を逸らしてはいけないと思った。だって彼女は泣いていた。
「私の代わりになるかは分からないけれど、あのお魚は君にあげる。アピストグラマっていうの」
可愛がってあげてね、と彼女は結んだ。
全部、ずっと前の、小学生の頃の思い出だ。
あれから僕は英語の勉強をし続けている。高校2年の今、英検1級も獲得した。
生まれた場所に帰すんだ。
僕の魚を。君にもらった全部を。
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