復讐の粘液

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復讐の粘液

【お題:フハハハハ!それはぬるぬる 必須要素:ランボルギーニ】  妻は男よりも「男」といった性格をしていた。酒を浴びるように飲むし、煙草は1日に3箱くらい吸うし、何よりとにかく車を愛していた。家のガレージにはランボルギーニやフェラーリといった高級車が並んでいる。  休日はとにかくドライブに出かける。僕も月に1回くらいは妻に付き合わされるけれど、あまり楽しさが分からない。いや、確かに高級車で道路を快走するのは気持ちいいが、妻のように病的にのめりこむような魅力は感じれらなかった。 「たまには、ゆっくりとデートでもしたいんだけど」  車ばかりにかまける妻に対して一度愚痴っぽく言ったことがある。けれど、「でもダーリンのデートって本屋巡りとかでつまんないんだもの」と一蹴された。  何で結婚したんだっけな、と時折思う。付き合っているときは、自分の好きなものに真っすぐな姿勢をかっこいいと思っていたんだけど、結婚して、生活をともにしていくようになるとやはり事情というものは違ってくる。  そして致命的だったのが、僕らの結婚記念日をほっぽりだしてドライブ仲間と出かけてしまったときだ。僕はちょっとお高いレストランにでも行ってディナーでもと思っていたのに。妻は「結婚して1年経ったってだけじゃん」とこちらに背を向けて靴を履きながら言い捨てた。  限界だったと思う。  価値観が違いすぎたんだなと思う。自分にないものを求めて恋愛はできても、たぶん結婚はできないんだろうな。  僕は妻が最もお気に入りの車に向かって、バケツを向ける。そして思いっきり中身をぶちまける。  ドライブから帰ってきた妻に対して僕は言い放つ。 「フハハハハ!それはぬるぬる」
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