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人間摂取
【お題:闇の成功 必須要素:パン】
物陰をつくるために、家具を買った。
ソファとかベッドとか、ひっそりとほこりがたまる場所を生み出すような家具が必要だった。
「これで人間らしい部屋になったな」
「そう?」
「そうだっつの。ミニマリストだかなんだか知らんけど、部屋ってのは多少ゴチャついてる方が健全なのさ」
「私には分からないけど。これでアイツは出なくなるのね?」
「おうよ」
彼は朗らかに笑いながら、ベッドと床の空間に、トラップをしかける。
「アイツらは負の走光性っつってな。暗いとこに走っていくようにできてんのさ。お前の部屋は物が少なすぎて陰ができんからな。トラップ仕掛けても効果が薄い」
「でも、じゃあなんで私の部屋に現れたんだろう」
「エアコンの室外機とか、換気扇とかから侵入してくるらしいな。まあ、この部屋1階にあるし」
「そういうものなのね」
アイツを殲滅するためなら、だいたいのことは我慢できる。私はアイツを目撃した瞬間失神する自信がある。先日、わが部屋に出没したというアイツも、彼が発見し彼が対処してくれた。
「じゃあ、ご飯かパンか、食いもの買ってくるわ」
「別に私はいらないわ。サプリメントでも飲んで栄養は摂取するし」
「食べカスとか適度に落ちてないとアイツら罠にひっかかんないよ」
「そう。それならやむを得ないわ」
それから彼はコンビニに向かった。健全化計画と口にしたが、一体なんのことなんだろう。
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