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汚れた身体
【お題:汚れた人体 必須要素:衝撃の展開】
「わたし、綺麗かしら……」
歩いていると、声をかけられる。ひどく驚いた。鬱蒼とした森の中、こんなところに私以外に人がいるとは思わなかったから。
「わたし、綺麗?」
髪の長い女だった。白いワンピースだったのだろうが、砂や土で茶色になってしまっている服を着ている。もとの肌は病的なくらい白いのだろうが、服に包まれていない肌は全て砂や血にまみれている。右腕には無数の切り傷がある。
「少なくとも私に比べたら綺麗だと思う」
私の言葉に、女はカッと目を見開き、怒号を放つ。
「ふざけないで! あなた綺麗じゃない! 顔立ちは整っているし、肌は白いし、綺麗な服を着て! それ以上何が欲しいというの? 少しくらいわたしに分けてよ!」
女は大声をあげて泣き出した。
「わたし、醜いから。自分より汚れたものを見つけたいの……」
「それなら、大丈夫あなたより汚いものなんて無数にあるわよ」
本心からの言葉だった。
「気休めはやめて」
「本当だよ。今からそれを見せてあげる」
私は縄を取り出し、気にくくりつける。
「私、お腹の中に赤ちゃんがいるの」
女は黙ってみている。
「たぶん、私の身体はあなたよりも汚れているわ」
飛ぶだけですべてが終わる。
私の身体は宙に浮く。
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