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蛙は土の中で眠るわ。
ほとんどは春になれば這い出てくるけれど、中にはそのまま干涸らびて死んでしまう者もいるの。
その話を聞いた夜、幼い貴徳は熱を出した。
凍った暗い土の中、光も風も届かない場所で誰にみとられることなく死んでゆく蛙。
生きたまま埋められること。
それは貴徳が最も恐れていることだった。
ご存じの通り、貴徳は生きたまま埋められることはなかったわ。
死ぬまで殴られて蹴られて踏みつけられて、最後の鼓動が打ち終わるまで暴力にさらされて死んでいったけれど。
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