19人が本棚に入れています
本棚に追加
パリに住んでから、もう8年半の時が経つ。
仕事もあり、住むところもあり、何より愛する人がそばにいる。そのこと自体に不満はないし、二人で一緒にいることに、社会的な支障もない。
だが、この頃どうにもやりきれない寂莫とした思いが、内側からアンドリューを揺さぶった。
最愛の恋人とは、離れたら生きてはいけない。幸いなことに、相手もまたそうだと言ってくれている。
だからこの、いたたまれないような鬱屈した気分は、仕方がないことなのだ。
仕方がない…?
本当にこれでよかったのか?
アンドリューはここ何年もの間、自問自答を繰り返しながら生きてきた。
最初のコメントを投稿しよう!