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目的の地で(四)
『――術師にとって、ああいう場所と繋がりをもつってのは大事なことだ。見聞を広げる良い機にもなる。ってわけで、逃げ帰ってくるうちは、温かく迎えてなんかやらねえぞ。分かったら、とっとと行って顔見知りになってこい』
ふと、昔の叱咤激励が聞こえた気がしたという。
慌てて頭を振った晴道に、玉瀬が目を丸くしたものだから、苦笑とともにそう明かしてくれた。
その後、気を取り直した師は大事な用件を口にする。
「それはそうと……私たち、この子を里に頼むために来たんです。ここを選んだ理由は、お分かりでしょう?」
大人しくしていた葛の背に、晴道がそっと手を添える。里の民が幼子を見て頷いた。
「もちろん分かる。我らの仲間だろう」
「どこから連れてきたの?」
問われて、晴道が経緯を語った。狐たちは静かに耳を傾ける。
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