一仕事(二)

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一仕事(二)

 少しの後、師弟は伐採された大量の竹と向き合っていた。 「……えっと、これは」  いよいよ戸惑っていると、狐たちが告げてくる。 「里の竹は育ちが良くてなあ。放っておけば、隙間なく生えてくるもんで、我らは時折刈っているんだ」 「捨てるには忍びないが、如何(いかん)せん、使い道が定まらん……そこで、お前たち。この竹の活かし方を考えてくれ」 「……はい?」  聞いて、玉瀬は目を丸くした。これが依頼だというのか。  さっと師を(かえり)みれば、彼は愉快そうに口の端を上げていた。 「なるほど、なるほど。そりゃあ、竹の山がいつまでもあっては邪魔でしょう。そうですね。これを使ってできるのは……」  そのまま、少し考えにふける。ややあって、晴道はぽんと手を打った。
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