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山中にて(一)
***
遡ること、三日前。
この旅の終盤、大きな山の麓までくると、晴道が言った。
「ああ、懐かしいな。里はこの山にあるんだ」
これに、ぱっと顔を明るくした玉瀬は、幼子へ声をかける。
「もうすぐ仲間に会えるよ。頑張って良かったな、葛」
無表情ではあるが、こくりと頷く様は愛らしい。笑みを深くする玉瀬の隣で、晴道が頭を掻いてつけ足した。
「言っておくが、想像してるより時間はかかると思うぞ。俺たちだけなら今日中にでも着くだろうが、お前がいるから後何日かは必要だな」
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