鈴鹿山の大嶽丸

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大嶽丸は余裕の笑みを浮かべて木槍に火を放ち燃やしてしまった。 「俺の槍が…」 ≪あんた、仮にも妖怪退治屋なんだろ?もうちょっとマトモな武器もってないわけ?≫ 貞光の手元に残された武器と言えば愛刀・石切丸のみ。 何度か斬りかかってはみるものの、槍と違って長さもない太刀では身軽な大嶽丸には当たるどころか傷1つつけることができなかった。 ≪そんなナマクラ刀じゃ僕に傷1つつけられないよ。頼光四天王なんて大層な名を名乗っていても大したことないんだねぇ≫ 大嶽丸はそういって再び鋭い氷の刃を雨のように降らせた。 咄嗟に身を守ったことで致命傷は免れたが、刃は容赦なく肌を切り裂き、貞光を傷つけた。 そしてまだ治りきっていない肩の傷がじんじんと疼きだす。 ≪ほらほらほらっ!反撃してこないの?このままじゃ死んじゃうよ≫ 大嶽丸はひょいっと木に登ると氷の刃に動けずにいる貞光をにやにやと見下ろした。 おもちゃを手に入れた子供みたいにはしゃいでいる。 <刀で奴を討つには接近戦しかない。なんとか奴に近づくチャンスはないものか〉 そう考えていた時、大嶽丸は動いた。 ≪そろそろ飽きたからトドメだ≫
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