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オレは最後にロッジをきれいにして別れを告げると、元来た無人駅へと向かった。
元々あまり使われていない駅なのだろう、ホームにいるのはオレ一人だ。
オレは列車を待ちながらぼんやりとこれからのことを思った。
まずは心配しているであろう家族には謝らなければ。
しかし、列車を待つこと3時間。
時刻表には列車の時刻が記されているのにも関わらずいつになっても列車が来ない。
―いくらなんでももうそろそろ来てもいい頃だろ。まさか廃線にでもなったとか…?
不安になったが、聞こうにも肝心の人がどこにもいない。
なんたってここは元々無人駅だからだ。
ポケットから携帯電話を取り出して半年ぶりに電源を入れようとしたが、つかない。
当然だ、半年もの間充電されていなかったのだから。
「しょうがない、歩くか」
時間を持て余したオレはやむを得ず線路に沿って下山することにした。
なかなか大変な道のりではあるが、いくら田舎とはいえ一駅くらいなら歩けるだろう。
案外、知らない道を歩くのも面白いものだ。
「本当に田舎だな。全然人がいない」
歩き始めて小一時間経ったが、車も見かけなければいまだに人っ子一人出会わない。
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