26人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてそんな彼をつけ狙うように魑魅魍魎たちが彼を取り囲み、様子を窺っていた。
―モノノケの気配がする。
青年は幼い頃から第六感が優れており、目に見えないものを観る力をもっていた。
そのため、幽霊を見たりやモノノケに襲われることも一度や二度のことではなく、背負っている木槍は身を守るためのお守りみたいなものだった。
自分の身は自分で守れ、それが両親からの教えだ。
おかげで幼い頃から槍術をみっちりと仕込まれ、実戦を繰り返すうちに気が付いたら日本で1、2を争うほどの槍術の使い手になっていた。
そんなこともあってモノノケの類には慣れっこの彼だったが、このところなにやら異変を感じ取っていた。明らかに瘴気が濃くなりモノノケの数が異常に増えているのだ。
そのせいでモノノケに狙われることが多くなった。
小者妖怪なら敵ではないが、さすがに回数が増えてくると只事とは思えない。
この世界に何かが異変が起きているとしか思えなかった。
≪あれが父上の言っていた頼光四天王の1人ね。お前たち、遊んであげなさい≫
離れたところで青年の動向を見守っていた滝夜叉姫は手下たちに合図した。
最初のコメントを投稿しよう!