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「何度も同じ手に乗るか!」
貞光は絶妙に蜘蛛の糸をかわし、蜘蛛丸との距離を縮めると彼との攻防戦を繰り広げた。
そしてその隙に滝夜叉は何やら呪文を唱え始める。
≪根の国から甦りしガシャドクロよ、その男を丸呑みにせよ!!≫
滝夜叉の声を合図に地面がぐらぐらと揺れ、見上げるほど巨大な骸骨が姿を現した。
どうやら先ほどの呪文はこの骸骨を生み出すためのモノだったらしい。
唐突に表れた巨大な骸骨にさすがの貞光も驚きの表情だ。
「なんと面妖な…」
≪隙あり!!≫
蜘蛛丸は一瞬の隙をついて糸で彼の身動きを封じた。
するとガシャドクロはその腕を伸ばし、彼を捕らえるとその肩にがぶりと噛み付いた。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
滲んだ鮮血が着物を濡らした。
≪ふっ、ふはははは!≫
滝夜叉は満足そうに笑い声をあげた。
そんな中、貞光は身動きを封じられながらも持ち前の運動能力と木槍を活用して必死に抵抗を試みた。だが、全くもって手ごたえは感じられない。
というのもこのガシャドクロは妖怪たちの怨念の塊が具現化し巨大な骸骨を形成しているだけにすぎず、痛みやダメージを感じることはないのである。
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