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知らないうちに世界はどうやら大変なことになっているようだ。
笑い事ではないが、貞光はかつての仲間たちと共に妖怪退治と聞いて不謹慎にもワクワクするのを止められなかった。
「まさかまたみんなで妖怪退治をする日が来るなんてな」
「普通ならありえないよ。だってあれから1000年も経ってるんだよ?」
「そうだよな」
「でもさ…ちょっと面白そうじゃない?」
公時はそういって少年のように無邪気に笑った。
「同感だ」
そして2人は再会を喜び合いハイタッチした。
「いざ、妖怪退治へ!」
「えっ、でも行くってどこへ?」
「目指すは京都さ。そこで綱さんと卜部さんも待ってる」
こうして滝夜叉姫を退け、再会を果たした碓井貞光、坂田公時の両名は一路、京都へと向かった。
*
京都・鞍馬山―
片腕を失い、命からがら退散した滝夜叉は鞍馬山にいる烏天狗の元へと向かった。
頼光四天王を倒すどころか返り討ちにあったことを詫び、赦しを乞うためである。
≪お父上!申し訳ありません≫
滝夜叉姫は烏天狗に会うなり、足元に跪くと深々と頭を垂れた。
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