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碓氷峠から山を越え、中山道を辿って京へ向かう碓井貞光と坂田公時。
魑魅魍魎たちの活動が活発になる夜を避け、徒歩で向かうこと早1週間余りが経とうとしていたある日、滋賀県の近江八幡市に差し掛かると突然の暴風雨に見舞われた。
先ほどまで晴れ間がのぞいていたというのに嘘のような急転だ。
「とりあえずどこかで雨宿りをしよう」
2人は慌てて雨宿りのできそうな神社へと転がり込んだ。
「この雨じゃ先へは進めそうもないな」
「しばらくここで様子を見るか」
こうして2人は神社で嵐がやむのを待つことになったのだが、雨はやむどころか強くなるばかりでそのまま3日3晩止むことはなかった。
おかげですっかり足止めを食らってしまい、引きこもり生活も板についてきた3日目の真夜中。
ついに雨が止んだ。
2人がうとうとと眠りこけているとけたたましい雷鳴が鳴り響き、ドーンという轟音と共にどこかに雷が落ちた。ゴゴゴという地響きに驚いて2人はハッと目を覚ました。
「…なんだ?」
「雷がどこかに落ちたみたいだ…」
「さっきのけたたましい音は雷が落ちた音か。かなり近い感じがしたが…」
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