鈴鹿山の大嶽丸

2/12
前へ
/134ページ
次へ
碓氷峠から山を越え、中山道を辿って京へ向かう碓井貞光と坂田公時。 魑魅魍魎たちの活動が活発になる夜を避け、徒歩で向かうこと早1週間余りが経とうとしていたある日、滋賀県の近江八幡市に差し掛かると突然の暴風雨に見舞われた。 先ほどまで晴れ間がのぞいていたというのに嘘のような急転だ。 「とりあえずどこかで雨宿りをしよう」 2人は慌てて雨宿りのできそうな神社へと転がり込んだ。 「この雨じゃ先へは進めそうもないな」 「しばらくここで様子を見るか」 こうして2人は神社で嵐がやむのを待つことになったのだが、雨はやむどころか強くなるばかりでそのまま3日3晩止むことはなかった。 おかげですっかり足止めを食らってしまい、引きこもり生活も板についてきた3日目の真夜中。 ついに雨が止んだ。 2人がうとうとと眠りこけているとけたたましい雷鳴が鳴り響き、ドーンという轟音と共にどこかに雷が落ちた。ゴゴゴという地響きに驚いて2人はハッと目を覚ました。 「…なんだ?」 「雷がどこかに落ちたみたいだ…」 「さっきのけたたましい音は雷が落ちた音か。かなり近い感じがしたが…」
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加