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だけど、この時2人はあまり気に留めていなかった。
大きな音にびっくりしたものの、雷が落ちるのはそう珍しいことではない。
「俺はもう少し寝るぞ」
そういって貞光は再び深い眠りに落ちていった。
だが、一方で公時は妙な胸騒ぎがして寝付けずにいた。
そして嫌な予感は的中してしまう。
ふと、何かが焼ける匂いがして起き上がるとうっすらと煙が漂っていた。
「この煙はどこから…」
公時は慌てて煙の出所を探った。
すると屋根からかすかに煙が出ていることに気づいたのである。
「火事だ!!」
公時は慌てて呑気に寝ている貞光を揺り起こした。
「起きろ!貞光!オイ!!」
「…なんだよ…」
「呑気に寝てる場合じゃねぇ!火事だ!このままだと丸焼きになるぞ!」
「はぁ!?んな馬鹿な…」
寝ぼけ眼で天井を見上げた貞光の目にもくもくと流れ込んでくる煙とオレンジ色の炎が映し出された。
「!!!!」
一気に目が醒めて2人は建物の外へ出ようと戸口に手をかけた。
鍵もかけていないのにこんな時に限って上手く開けることができない。
焦っているせいかと思ったが、まるで何かに邪魔をされているような。
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