鈴鹿山の大嶽丸

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「何してるんだよ、早く開けろって!」 「…それが開かねぇんだって!」 「はぁ!?勘弁してくれよ!」 その時、姿は見えないが外からどこか楽しそうな男の声がした。 ≪人間ども、逃がさないよ≫ 「誰だっ!?」 炎はますます激しさを増し、建物全体を飲み込んでいく。 このままでは確実に2人とも丸焼きになってしまう。 公時は自慢の怪力を生かしてなんとか出られないかと思いっきり扉に向かって突進した。 だが、いくら体当たりしてもビクともしない。 まるで分厚い壁を相手にしているみたいだ。 「…もしかしたら俺たちは何かの術にかけられているのか?」 「はぁ!?術だって?」 「だっておかしいだろ。お前の怪力をもってしてもビクともしないなんて。もしかしたらこの火事自体も相手の仕業かもしれん」 「さっきの声の奴か!」 「おそらくは」 「一体どこのどいつだ!オレ様たちを丸焼きにしようなんざろくでもねぇこと考えるやつは。オレ様は丸焼きにしても美味しくないぞ!!」 公時が吠えると、男の笑い声がこだました。 ≪ハハッ。馬鹿か。誰があんたらなんか食べるか。大人しく僕の炎に焼かれて死にな!≫
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