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薄布をかづいていて顔はわからないが、赤い紅を差した口元だけちらりと見えた。
「あれが鈴鹿御前…?」
貞光はなぜか違和感を覚えた。
あの女性、どこかで会ったことがあるようなそんな気がしたのだ。
≪彼女の願いを叶えるためにもお前たちには死んでもらうよ!!≫
大嶽丸は不敵に笑い、腕を天高くつき上げると雷鳴が轟いて貞光に向かって雷が落ちた。
「!!」
貞光は意識を失っている公時を担ぎ、間一髪で避けたが、万が一直撃していたら命はなかっただろう。
≪さあ、どんどん行くよ!いつまで避けきれるかなぁ?≫
大嶽丸はそういって続けざまに大粒の雹を降らせたと思ったら氷の刃を放った。
どうやら彼は天気を操る能力をもっているらしい。
〈公時を担いだままじゃ避けきれないな…しょうがない…〉
貞光は傷を負いながらもギリギリでかわし、安全な死角に公時を降ろすと大嶽丸の前に飛び出した。いつまでも逃げてばかりは性に合わない。
そして木槍を片手に飛び掛かったが、なんなくかわされてしまう。
≪そんなもんで僕が倒せると思ったら大間違いだよ…っと!≫
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