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京都市街―
無事に刀を手に入れた綱と季武はというと…京都市内に小鬼を始めとするモノノケたちが急激に増えたことに頭を悩ませていた。
「斬っても斬ってもきりがないな」
2人は退治屋の名にかけて悪さをする鬼たちを一掃すべく刀を振るったが、斬っても斬っても現れる鬼たちにそろそろうんざりしていた。
「どこから出てくるんだ、一体」
「いい加減、嫌になってきましたね」
さすがに疲れが見え始めた頃、通りがかった橋のたもとで妙な視線を感じて立ち止まった。
〈嫌な予感がします〉
―えっ?
綱が周りを見渡すと橋の下から美しい女性が見上げてじっとこちらを見ていた。
茶色の巻き髪で肌は白く、真っ赤な紅を差した派手な今どきの美人だ。
―おっ、美人さん!でもなんでそんなところに…
「源次、気を付けるのですよ」
「ええ」
季武の言葉にきりりと身が引き締まる思いだ。
それもそのはず、普通の人間がこんなところにいるはずはないのである。
―やっぱり彼女も妖怪?
〈恐らくは。どうも私は昔から女性の妖怪と縁があるようです〉
「ここは”戻橋”。もしかしたら…」
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