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季武に言われて橋を見ると作りは現代的だったが確かに”戻橋”と書かれていた。
「戻橋…ですか。思い出しますね」
―戻橋って何かあるのか?
〈戻橋自体は普通の橋に違いありませんが…実は昔、私はここで鬼の腕を切り落としたことがあるのです〉
―鬼だって?
〈一見は普通の女性でした。私を攫って食うつもりだったのでしょうが…〉
―ってことはあれももしかして…?
〈正体は鬼かもしれませんね〉
綱が視線を向けると女としっかり目が合った。
そして彼女はにこりと微笑んだ。
もしも彼女が人間ならば、多くの男を魅了するであろう妖艶な魅力の持ち主だ。
「まさか再びこの戻橋で妖怪に出逢うとは…」
綱は小さくため息を吐いた。
「あなたはつくづく女難の相の持ち主ですね」
「私が望んだわけではないのですが。不本意ながら、どうも私は女性からすると騙しやすそうに見えるのかもしれませんね」
「源次は優男だからでしょう」
そうこう言っているうちに女は綱と季武の目の前に立っていた。
「!!」
≪お兄さんたち、あたしと遊ばない?≫
「申し訳ありませんが、お断りします」
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