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私が少し気を許していると、その隙にぼけっと何かを考えているようだし、そんな時は男らしい太い眉毛も真ん中がくっつきそうな勢いで、ぎゅっと中央に寄せてられている。
(そんなに宝探しやりたかったのかなあ)
何が原因って、それしか思いつかないもんだから、私も混乱してしまうってわけで。
「はい、オニギリ」
私は早起きして作ったオニギリと玉子焼きを差し出した。
食堂の隣、休憩室で二人、陣取って座る。
「ああ、ありがとな」
受け取った包みを開き、そのままかぶりつく。
「中身、なに?」
私もひとくち。
「んー? そりゃあ梅こんぶさ」
「俺、梅こんぶが一番好き」
「知ってるー」
「玉子焼きもうめえ」
「良かった良かった」
私が、箸にぶっ刺した玉子焼きを口に放り込んで口をもごもごさせていると、ハルユキがじいっと私の顔を見てくるもんだから。
「あ、ごめん? 最後の玉子焼き、私が食べちった」
「あ、や、そういうわけじゃ……」
「食いたかった?」
「うん。また今度、作ってよ」
「おうよ。いつでも作ったるよ」
「え⁉︎」
私が言うと、ハルユキは驚いたような表情を浮かべてから、え⁉︎ え⁉︎ と呟きながら、視線をあちこちに飛ばす。その顔はまるで挙動不審。
(こっちが、え⁉︎ なんだけど、なにその顔)
私なんか変なこと言ったっけ、とこっちこそ不審に思いながら、私はタッパーの蓋を閉めた。
ハルユキは慌てて残りのおにぎりを口に詰め込んでいる。
そして。
「ありがとな、朝早くから弁当作ってくれて。……それなのに俺、寝坊しちまって」
俺しまんねーな、などと頭を掻きながら、まだ視線をあちこち泳がせている。
(ああ、そんなこと気にしてたんだ)
だからか、と納得し、私はにかっと笑って言った。
「なに言ってんの。まだ気にしてたんだ。いいっていいって、そんなこと。ってか、いつも私が遅刻気味だし、私もこれからは気をつける」
「お、おう」
コーヒーでも飲むか? とポケットからサイフを出しながら、立ち上がる。
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