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自分が捕まっていたのが蛙の舌だと分かってゾッと鳥肌が立った。もしもロザがいなかったらと思うと今のロレッタはなかったかもしれない。
霧は完全に晴れ、静寂な月夜が舞い戻ってきた。
湿原の奥から覗くコバルトブルーの灯り。目的地はもう少しであると告げていた。
ロレッタは蛙の唾液で汚れた修道服に嫌悪感を抱いたが掠り傷一つないことに安堵し起き上がった。一点嫌なことは生臭い臭いが服にこびり付いた。
「なんとか大丈夫そうだけど。生々しい臭いが香しいね」
ロザは鼻を覆い、少し苦笑いを浮かべていた。そしてある日常呪文フレアリンビルを唱えた。するとたちまち臭いの元から薔薇の香りが立ち上った。
「残り僅かよ。さあ、行こうか」
「ロザ、どうもありがとう」
ロレッタとロザの二人は最後の坂道を残った体力で駆けのぼった。
蒼魔草の蒼き煌めきはすぐ目の前に迫った。
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