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血に塗れた口、そして黒く染まった瞳。その中に広がる黄色いつぶらな閃光がエドヴァンとマザーを捕らえた。
歯には人には似つかわしくない牙が生えていた。黒い修道服が返り血でべっとりと汚れていた。
「なぜです……なぜこのようなことを……リリユス=アルテミア!!」
エドヴァンは激高し、孤児の名を叫んだ。リリユスは無表情で首を鳴らした。そして、指を胸の前で構えると呪文を詠唱した。
するとリリユスの周りに闇の気配がほとばしった。空気が一気に変わる。重苦しい空気に追い打ちをかけるように空気が重みを帯びる。
「……………」
リリユスの目が赤い光を帯びた。
「リリユス……今ならまで引き返せる。罪を償いこちらへ戻って来るのだ」
リリユスにはこちらの声がまるで届いていないようだった。
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