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リリユスの盾から先ほど吸収した火が溢れ出した。だが色はどす黒い紫色に変貌している。圧縮した炎が口から物凄い勢いで吐き出された。その炎は拡散していない分一点に力が集まっているため貫通力が高い。
「マザー、どうか私の後ろに隠れていてください」
「ええ……」
エドヴァンの背後に寄り添うマザー。紅一点の一撃は堅牢な砦の弱所をついてきた。僅かに開いている隙間に見事に入り込むように向かってきた。
それは本当に一瞬、隙間から入り込んだ光はエドヴァンとマザーの間を通り抜けると時間差で地面が吹き飛び2人は爆炎に巻き込まれ吹き飛ばされた。
叫び声が部屋に木霊する。エドヴァンは身に纏った鎧が割れ、額から血が滴り落ちた、マザーは足の骨が折れ床にうずくまった。
彼女のどこにこれほどの魔力があるというのだろうか。性格はおとなしく、つい先日までは簡易魔法もままならなかった。だが、信仰心はとても強くマザーの事を慕っていた。あのふくよかで心優しい彼女はどこへ行ってしまったというのか……
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