第1章過去編 第2話 地獄絵図

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 予想以上に激しい一撃であばら骨が折れ、意識が朦朧としてきていた。 だが、マザーをお守りするためにもここで死ぬわけにはいかない。よろよろと立ち上がったエドヴァンはマザーの周りに結界を張った。治癒能力を秘めた結界を……マザーは病気でもある。もう戦うには限界である。  リリユスは愛情を注いできた孤児の1人であるが今は四の五の言っている暇はない。禁書が渡ってしまえば世界に混沌を招く恐れがある。それだけは何としても防がなければならない。  心苦しいがあれを呼ぶしかない。あまりに強力な荒くれ者を……だが、呼ぶまでに少し時間を要する。 「エドヴァン、どう……やら精霊を呼ぶのです……ね。ですが呑まれないで下さい。あ……なたも致命傷、精霊は弱者には従順ではありませんから」 消え入りそうな声でマザーは心配の眼を向けた。
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