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予想以上に激しい一撃であばら骨が折れ、意識が朦朧としてきていた。
だが、マザーをお守りするためにもここで死ぬわけにはいかない。よろよろと立ち上がったエドヴァンはマザーの周りに結界を張った。治癒能力を秘めた結界を……マザーは病気でもある。もう戦うには限界である。
リリユスは愛情を注いできた孤児の1人であるが今は四の五の言っている暇はない。禁書が渡ってしまえば世界に混沌を招く恐れがある。それだけは何としても防がなければならない。
心苦しいがあれを呼ぶしかない。あまりに強力な荒くれ者を……だが、呼ぶまでに少し時間を要する。
「エドヴァン、どう……やら精霊を呼ぶのです……ね。ですが呑まれないで下さい。あ……なたも致命傷、精霊は弱者には従順ではありませんから」
消え入りそうな声でマザーは心配の眼を向けた。
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