Mediocre Magic

第2章 始まりの地 第1話旅立ちの時

　ロレッタの真っすぐな目、信念に感化されおじいさんは俄然やる気が湧いてきた。その透き通るなんの曇りもない瞳に母親の面影を見た気がした。この少女なら何かをしてくれそうなそんな予感を感じる。たとえ魔法が使えなくてもこれからの困難をこの子なら吹き飛ばしてくれそうな気がする。
「よろしい。ではお主の気構えに免じて儂も本気で指導しよう。ただし弱音を吐くようであればすぐ特訓は取り止めるからの、覚悟するのじゃぞ」
「はい。よろしくお願いします」
　ロレッタの修行が幕を開けた。毎日早朝の霊山坂道ダッシュから始まり、山頂までのジャングルダッシュ、山頂で一息した後、一気に下山する。これを一日4セット行った。険しい獣道を走り、標高が高くなるごとに酸素が薄くなるため過酷さを増していく。霊が溜まりやすい霊山であるからこそ磁場が強く魔力が溜まりやすい。