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激しい羽切り音が響き気づけばロザの腰にしがみついてしまっていた。
「ちょっと、本当に大丈夫なの?」
ロザは全く動じずクールな表情を浮かべている。
「ロレッタって意外と臆病なのね。まあ、そんなところが可愛らしいんだけど。ほら、とっとと行くよ」
「ああ、ちょっと待って!!」
ロザはランタン片手に森の奥に向かってスタスタ進んで行く。途中道を蔦が覆っている箇所があったがロザの得意な炎魔法で難なく燃やし先を急ぐ。
その後ろを警戒しながら進むロレッタ。彼女は魔法が使えない。魔力がからっきしないのだ。どれだけ修練を積んでも身につかないことに憤りを感じていた。親は偉大な白魔道士だったと聞かされた事もあったが年端もいかない内に病気でしんでしまったからあまり家族との思い出は数少ない。でも温かい家庭だった記憶はなんとなく残っている。
懐かしい記憶を呼び戻そうとぼうっとしながら歩いていると突如止まったロザの背中に顔をぶつけた。
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