第1章過去編 第1話 聖なる森

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 ロレッタは足音を立てないように気を付けながら辺りを散策した。そして近くに転がっていた漬物石のような形の石を手に取った。 「もしかしてそれを投げるの?」  少し冷たい表情を浮かべ、呆れたようにため息をついた。 「私の細い腕じゃ投げれないと思ってるんでしょう。私は魔法が使えない分、鍛えているからこれぐらいの石なら100mは飛ばせるはずだわ」 「もちろんロレッタが知る人ぞ知る強肩なのは分かってるつもり。でもあまりに作戦が安直すぎやしない」  たしかに石を投げるだけというのは単純かもしれない。でもね遠心力をつければこの通り。物凄い剛速球が森の中を駆け巡る。蔦を千切り奥の方の石碑にめり込んだ。  その音にイノシシエンの群れが反応し、音の方向に猪突猛進していった。 一瞬にして音は遠ざかり嵐の後の静けさが辺りを包み込んだ。
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