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ロレッタは足音を立てないように気を付けながら辺りを散策した。そして近くに転がっていた漬物石のような形の石を手に取った。
「もしかしてそれを投げるの?」
少し冷たい表情を浮かべ、呆れたようにため息をついた。
「私の細い腕じゃ投げれないと思ってるんでしょう。私は魔法が使えない分、鍛えているからこれぐらいの石なら100mは飛ばせるはずだわ」
「もちろんロレッタが知る人ぞ知る強肩なのは分かってるつもり。でもあまりに作戦が安直すぎやしない」
たしかに石を投げるだけというのは単純かもしれない。でもね遠心力をつければこの通り。物凄い剛速球が森の中を駆け巡る。蔦を千切り奥の方の石碑にめり込んだ。
その音にイノシシエンの群れが反応し、音の方向に猪突猛進していった。
一瞬にして音は遠ざかり嵐の後の静けさが辺りを包み込んだ。
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