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薄っすらと霧が立ち込めてきた。足元もおぼつかないこの地表では最悪の天候である。どんどん霧が濃くなり足元を雲が覆っているかのような状態に陥った。方向感覚とロザの姿がたちまち霧に隠れてしまった。
「ロザ、どこにいるの?」
完全に姿が見えなくなって不安を感じた私は大声を出した。辺りから謎の共鳴音が鳴り響く、どこか鈍い重低音が合唱を奏でていた。その音は脳をかき混ぜ
平衡感覚を欠如させていく。
目の前が歪むと共に三半規管が異常をきたし、猛烈な吐き気を催した。床に這いつくばり意識が遠のく中、目の前に巨大な黄色い目がギロリとロレッタのことを捉えた。大きな黒い影の中からひものようなものが飛び出、ロレッタに巻き付いた。
ひどくべとついた何か……これはベロ??認識と共に一気に暗がりへ引きづり込まれかけた。
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