第一章 同盟結成

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第一章 同盟結成

 僕の活動開始は遅い。  むくりと起き上がると、時刻は夜七時を回っていた。  普段よりは早い時間かもしれないけれど、世間一般的には遅い時間なのだろうなと思う。  僕はもうかれこれ数年は朝に起きたためしがない。  早起きには無縁の存在だからね、僕は。  テレビをつけると、今日もバラエティ番組しかやっていない。ひな壇でワイワイガヤガヤしている芸能人が、司会に突っ込まれている姿ばかりが目に映る。  テレビと言えばロケなんだろうけれど、お金がなくなってしまったからか、あまりそれをしなくなっているような気がする。  いや、お金があるから、人を雇える余裕があるのかな? 「……お腹が空いた」  お腹が空いたと言うことは、僕のお腹が空腹であるということだ。  僕が住んでいるマンションの裏手には、コンビニがある。駐車場も広いので、トラックやタクシーが止まって休憩することも珍しくない。近いので毎日のように使っている。デメリットと言えば明かりが漏れていて、窓からその明かりがまぶしく感じるぐらいだ。 「取り敢えず、ご飯かな……」  食事は取らないと、人間は生きていけない。  それは、超夜型人間である僕だってそうなのだ。  何もない部屋――というのは言い過ぎだけれど、僕の部屋は非常に簡素なものとなっている。  部屋のど真ん中に液晶テレビ、そこには最近話題のゲーム機が一台。何故あるかというと、抽選に偶然応募したら権利を得てしまっただけの話。気がついたら、違うゲーム機に触れてしまうこともあるのだけれど、少なくとも僕には違いが分からない。 「……ええと、忘れ物忘れ物」  ジャージの上を着て、外に出ようとしたタイミングで、僕は忘れ物をした。  机の上に置いてあった、スマートフォンだ。  今では、財布を持ち歩くことなく、このスマートフォンさえあれば生活出来るのだから、良い時代になったものだと思う。とはいえ、ただスマートフォンを持ち歩くだけじゃ不可能だというのは、誰だって理解していることだと思う。
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